にしん・鯡・鰊の謎解き

春告魚と呼ばれ、身欠きにしんは初夏の季語である。

春なのに初夏、その間の物語が気になって、頭の中でソーラン節をリピートしながら、梅雨の膳にのる魚を調べ出した。

にしんは鯡、鰊と書く。

中国語でにしんは鯡魚と書きFèiyúと読む、韓国語はcheong-eoらしいから、Nishinは日本語読みである。

にしんの語源は「二身」「二親」「妊娠」「ヌーシィ(アイヌ語)」など諸説ある。
二身:身を二つに裂いて食べるから。
二親:盆や正月に両親の長寿を祈って食べる魚であった。
妊娠:身を二つに割る事から。
ヌーシィ:アイヌ語から転じた。

と書くのは、中国語=鯡魚から来ているのだろう。魚に非ず⇒成魚になっていない魚⇒魚の卵の事らしい。数の子が採れる魚という意味なのかな?
江戸時代に松前藩が米の代わりに鯡を年貢として収めたので、これは魚に非ず年貢米である、なんて説が有ったが、漢字が先に有ったのでこれはない。

は中国語では小魚の名のこと。
にしん=鰊は、小魚を指すことから出た当て字かも知れない。
東で獲れる魚と解説する人が多いが、これは嘘である。
もともと、柬(カン、えら・ぶ、えりわ・ける)と東(トウ、ひがし、あずま)は違う文字で、手抜きか勘違いか、柬を東と書くようになった例は多いが、東を柬と書くように転じた例は無いからだ。

鯡も鰊も室町時代の節用集に両方の字が出てくる。
これをNishinと読んだかは知らぬ。

春告魚と呼ばれるにしん。
産卵のために2、3月ごろ北海道沿岸に現れる。
江戸から明治にかけて押し寄せるように現れ、網元に巨万の富を与え鰊御殿が立ち並んだ。
食用には有り余るほどで、二身(ニシン)の片方を食べ、片方を肥料にしたとも言われる。

冷蔵庫が無かった時代、身欠きにしんは山間部の重要な食材で、

その代表が京都の盆地、にしん蕎麦などが有名です。

俳句の世界では身欠きにしんは初夏の季語。

春に北海道で獲れた鯡が身欠きにしんとなって初夏に京のみやこに届く。

北海道小樽の賑わいや北前船の活気の想像しながら、みやこ人が作り上げた膳を楽しんでみたい。